猫の気持ち 其の二


「ふう、やれやれでござったのう」
 駐車場の隅でようやくのこと落ち着ける所を見つけてから座り込む。
 通り雨であろうから、しばらくのあいだ時間を潰しておればまた小降りになって止んでゆくであろう。そう思って、駐車場の奥の方から外の様子を眺めていると、どうしたことであろう。今しがたまでこの世の終わりを告げるかのように激しく降っていたはずの雨が、あれよあれよと勢いを弱め始めてしまったではないか。
 ほどなくして傘も要らないほどになってしまった。ヤレヤレ、ついてない時はこんなものであるな、せっかく雨宿りできる場所を見つけたと言うのに骨折り損のくたびれ儲けである。
 さてと、とりあえず雨は止んだので、再び探偵事務所とやらを探すことにしようかな。
 駐車場からトボトボと再び路地へ出ようとしたときである。
「んもー。せっかく事務所まで来たのに止んじゃうなんて、今日はツイてないわね」
 ビルの二階へと上がる階段の手前にさし掛かったところで、ばったりと一人の女性と鉢合わせしてしまった。ゲリラ豪雨の中を傘一本で何とかやり繰りして来たのであろう。デニムパンツの膝から下はすっかりずぶ濡れになってしまっている。
 ふむぅ、少し丸顔ではあるが悪くはない。なかなかのべっぴんさんであるな。
「はにゃ。猫ちゃんがいるー」

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