猫の気持ち 其の一

――ネコはこゝろを見る。

 ネコのこころは変幻自在である。
 ガス星雲のようにユラユラと絶ゆ間なく変化し続けて行く。
 そして猫の気まぐれで一点にあつまって丸っこくなり、縮退を始める。
 しばらくジッとしてると、外側に薄っぺらい瘡蓋のような殻ができた。
 ニンゲン様はコレを見て『人格』と呼び、「奴は腹黒い」などと言って騒ぎ立てるが、こゝろと言うモノはそう単純なものではなひ。
 黒き殻の内には変らずにマグマの如き熱い情熱がドロドロと蠢いているのである。
 しかしながらニンゲンとは愚かなもので、せっかく丸く治まっているところをなぜか四角な枠の中へ押し込もうとする。これはいけない、大変窮屈だ。無理矢理にでも押し込もうとするので、殻に罅割れが出来て中のマグマが噴出してしまう。
 するとニンゲン様は、「てーへんだ、てぇーへんだ」と慌てふためきながら臭い者には蓋をしろと、被せ物をして重箱の隅に追い遣ろうとする。これはもっといけない、大変機嫌が悪くなる。
 やがて行き場を失った熱き血潮たちが芸術的な大爆発を引き起こし、枠もろとも爆散して宇宙の塵へと還ってしまうだろう。
 吾輩の視界に眩いばかりの白い閃光が現れ、視覚細胞を刺激してきた。

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